開発コンサルタント
のつぶやき

パキスタン国ギルギット・バルティスタン地域高付加価値果樹産品振興プロジェクト

成功と苦難のはざまで

プロジェクト実施中、外国人観光客への事件や総選挙による影響で、対象地域であるギルギット・バルティスタン地域(GB)に入境することが禁止されたこともありました。その期間はGB農業局(DoA)職員や農民をイスラマバードに呼び寄せる形で遠隔での技術指導を余儀なくされましたが、2015年ようやくしっかりと現場活動ができ、2016年は最終年次にあたりますが、ドライアプリコットも生鮮リンゴの品質も向上し、市場においてかなりの高値で売られるようになりました。これまで苦労して指導してきた栽培、加工、販売における技術の活用、そして、奨励した共同作業での実施効果の向上による成果が現れ、プロジェクトチームの各専門家も喜んでおりました。
そこで、各専門家も意気込んで活動を開始しましたが、事態は期待したようにはなりません。この地域の年間降水量は例年では砂漠気候並みに少ないのですが(それでも農作物が育つのは周囲の氷河のおかげ)、今年は春に異例の長雨が降りました。それが果樹の受粉を妨げたため、特にアプリコットに関しては凶作となってしまいました。こうした天候の悪影響はコントロールできない外部要因とはいえ残念でなりません。品質向上の成果を今年も農家が享受できれば、それだけ自主的に習得技術を実践する意欲向上につながるからです。それでも活動をやめるわけにはいきません。現状に即した最大の成果を上げるべく、専門家はプロジェクト終了まで最善を尽くします。
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