開発コンサルタント
のつぶやき

パキスタン国シンド州持続的畜産開発プロジェクト

プロジェクト成果の発現

本プロジェクトも5年目に入りました。これまでの活動の成果が徐々に発現しています。プロジェクトでは多岐にわたる技術支援をしていますが、そのひとつに水牛の繁殖障害の診断と治療の技術指導(写真)があります。酪農牛は、繁殖サイクルが短いほど生産性が高くなります。そのために妊娠診断や繁殖障害の治療は重要ですが、プロジェクト対象地域ではこの技術が未発達でした。また同技術が確立していないため、牛の直腸を触診する直腸検査を嫌う酪農家も多くいます。しかし、この5年間のカウンターパート、専門家の地道な現場での繁殖診断活動で農家の認識が変わりつつあります。これまで繁殖診断を断っていた農家が一転し、カウンターパートの訪問時に、近隣農家が列をなして水牛の診断を待つ(写真)という村が出現するようになっています。繁殖診断の重要性、治療に対する認識や信頼度が徐々に農家に滲透してきた結果といえます。
またこうした診断、治療を行う技術者が圧倒的に不足しているため、獣医師の技術者育成も行っています。第2回目の研修には2名の女性獣医師が加わりました!これまでオフィスワークが主であった女性獣医師が、現場で繁殖診断を行う技術者となり、農家にサービスを提供できるようになれば、今後、農村社会に大きなインパクトを及ぼすことになるでしょう。女性獣医師は農家世帯の女性たちの酪農技術の頼りがいのある相談者となるでしょうし、次世代の働く女性のロールモデルとなるかもしれません。彼女たちの将来に大きな期待を寄せたいと思います。
Rectal Palpation