社長エッセイ

15年後の5年後

 今はGW、決算作業がようやく終わり、今期(第17期)に向け頭を切り替えているところです。毎年、「4月末までに必ず、賞与額を決めて、全社員に通知すること」と税理士さんにいわれます。そのため、社内業務の評価から始まり、実施済み・実施中全ての案件の売上額を再確認し、コンサルタント社員の個人売上額と報酬額の確定、プロジェクトの会社予算残額の確定と総括報酬の配分、4月の支出予測、今期総費用の確定など諸々の作業が4月前半から中盤にかけて集中します。それらが終わって今期の賞与前損益がほぼ確定し、そこから(利益が出て入れば)、貢献賞与、基本賞与の額の決定、皆さんへの通知となるわけです。この作業、締め切りもさることながら、金額や皆さんの収入に直結するのでとても気を遣います。評価の際のポイントの付け方には、私なりの基準、こだわりも反映させていますが、ここにも時間をかけ、一つ一つ説明できるように考えます。
 今回、そうした一連の決算作業が終わってホッとしている時、奇妙な感覚にとらわれました。なんだろうな、そうか「完了感」みたいなものだ、と気づきました。これで(会社設立時に自分に課した)15年間が終わった、という。。。実際にはまだ、税理士さんによって決算額が確定し、高い税金をしっかり払い、皆さんへの配当があり、それでようやく完了となるわけですが、ちょっといつもと違う感覚でした。
でもこの感覚、達成感とは全然違うんですね。まあそれが出てくると、経営者としては完了かもしれませんが。しかしそれも一瞬のこと、すでに第17期に突入し、ゆっくりと昨期を振り返るゆとりもなく、「さあ今期どうするか」について考え始めています。これって、経営者の宿命、だから私にとってはGWが正月休みみたいなものだなあ、と思います。当期の計はGWにあり、と。
まずはこの先、KMCをどうするのか、私はどうしたいのか、5年後のKMCをイメージしてみました。「イメージできないものは達成できない(逆に、しっかりイメージできていれば自然にそれに近づく)」と思っていますので。
・受注競争はますます厳しい。そうした中でも、戦略的な案件狙いが功を奏し、各部とも高い受注率を維持できている。
・そのおかげもあり、皆、すごく忙しい。でも落ち着いて、かつ楽しい雰囲気で業務が進められている。
・高い受注率もさることながら、多くの案件で目に見える成果を上げている。社員は「どうやれば良い成果を上げることができるのか」を理解している。その結果、クライアント(資金提供者)や最終受益者である途上国政府や住民、日本企業から喜ばれている。
・社内外で、KMC社員に対する「信頼感」が熟成されてきている。だから個々の社員のやりがいにつながっている。
・社内ではお互いが健全にフィードバックし合い、活発なコミュニケーションが自然に図られている。それによって、社内の各チームが「ハイパフォーマンスチーム」化している。
・チャレンジが奨励され、それが良い成果にもつながっている。多少の失敗は認められる雰囲気がある。それが「ワクワク感」を醸し出している。
・会社は50~60名体制になっている。売上額は15億円を突破し、業界では10位以内に入っている。
・ODAプロジェクトでは、狙いどおりの分野で業界のステータスを築きつつある。
・企業支援では、豊富なノウハウが蓄積され、ほぼ確実に企業の海外展開を成功に導くコンサルティングができつつある。
・コンサルティングに役立つような形で、何らかの「自社事業」が営まれている。
と、そんなところかな、と思います。
ほとんどのことは常々、私が言ったり、書いたりしていることばかりで、皆さんにも違和感はないですよね。要は、これまで着実にやってきた、やってこれたことをこれから益々昇華させていく、ということに尽きると思います。
私自身のこれからのキーワードは二つ、「イキイキ感」と「ワクワク感」。これが今から5年後にも感じられていれば、それは私にとっての組織づくりが成功した、ということだと思います。そして、いよいよKMCはトップギアで走り始めている状態になっているはずです。要すれば、現在試行している様々な仕組みが定着している、会社が仕掛けなくとも自然に回っている、社員が行動している、ということです。それがKMCの文化、社風を形づくっていくだろうと思います。第17期のはじめにあたり、これからの5年間、そんなことを目標にしていきたいと考えています。

以上

応接室に新たに、「木象嵌」と呼ばれる技法で描かれた富士山を飾りました。GW中の5月1日、まさにKMCの創立記念日ですが、つつじを見に伊豆の小室山公園を訪れた際、そこにとある小さな美術館で思いがけず出会った作品です。素晴らしい、これは15周年の良い記念になる、とほぼ即決で購入を決めました(結局、妻と子供が記念に贈ってくれました)。日本人ならではの技術を是非堪能してください。