社長エッセイ

サード・ギア:「判断力」

 KMCはようやくサード・ギアに入ったなと感じます。これまで少し長い時間をかけて、ギアをセカンドからサードにシフトしてきたように思います。過去のKMC通信を見ると、2005年の7月に「KMCはセカンド・ギア入りした」と書いているので、それから実に7年かかったということになります。ゆっくりですが、でもまあ少なくとも停止はせず、というよりも段々とスピードを上げてきていますので、ここまでは良しとしましょう。

 車を運転する人は実感すると思いますが(今はオートマなのでそうでもないかな)、セカンドギアとサードギアで走るときの違いは随分大きいですね。ローギア、セカンドギアあたりまでは、まだ車が「動き始めた、走り始めた」状態。スピードもまだそれほどでもなく、まだまだ加速している段階です。それが今までのKMC。さてそれがサードギアになると、いよいよ「走っている」状態になります。まだ加速はしていきますが、意識はすでに次のトップギアに向いて、だんだんと「安定的な走り」を目指していくことになります。ただ、今の段階ですでにスピードはかなり出ていますし、感じる風も強くなってくるので、それまでの走りとは随分と違います。セカンドギアとサードギア、この二つのギアのそうした大きな違い、まさにそれが、これからのKMCで私たちが実感していくであろうことだと思います。

 何を実感するのか。最も大きなことは、感じる風の「爽快さ」と、一つ一つの「判断力の重さ」だろうと思います。私たちが業務の中で判断を求められる瞬間は、後に与えるであろう影響力の違いは様々であるにせよ、日に何度も来ます。会社としてどう考えるのか、部長としてどうすべきなのか、総括や社内のリーダーとしてどう他の団員・社員を引っ張るのか、個々の社員や団員の立場で自分をどう位置づけ、どう振る舞えば良いのか。その瞬間瞬間で、私たちそれぞれが判断を求められます。これは私たち個々の、いってみればそれまでの人生経験に依るしかないわけです。それまで色々な経験をして、その結果色々な問題が見えてくる。それゆえ色々な角度からものを考え、色々な方向に気を配れるようになる。そうした経験を糧にして、瞬間瞬間で判断をする。結果はその積み重ねです。果たしてその結果として、自分や自分の周りが「あるべき方向」に向かって動いているのかどうか。

 瞬間瞬間における判断がブレないこと、その結果として組織や個々の社員・団員が、それぞれ描く姿の実現に向かって成長していること、それが「安定的な走り」という意味だと思っています。車のスピードが上がれば、その分、危険も増してきます。判断を求められる瞬間はもっと多く、もっと頻繁にやってきます。それを予測しておくこと、それが万一発生しても対処出来るようにしておくこと。それがサードギアで意識しなければならないことでしょう。

 やがてトップギアで走る、安定感のある組織となるためには、結局、これからもまだまだ色々とチャレンジをして、色々な経験を積んでいくしかありません。「不安定さを乗り越えたがゆえの安定感」、ということだと思います。

 「心身一如(しんしんいちにょ)」という言葉があります。自分の進む方向にしっかりと心を向ける、という意味だそうです。歩きながら、横ではなくまっすぐ前を向いているということ。自分が今やっていること、やろうとしていること、それが本当に自分がやりたいことなのか、自分がやるべきことなのか、大げさではなくそれに自分の人生を賭けて良いのか、そうならば本当に自分はそちらに心も身体もまっすぐ向いているのか。KMCという会社で皆さんの理想が実現できそうなのか、このままでKMCはトップギア入りができるのか。日々のチャレンジの中でも自分はブレていないか、あるいは自分の「判断力」の影響で、自分の周りはブレていないか。そんなことを意識しながら、これまでより少し強く、でもより爽快な風を感じながら、しばらくはサードギアで走っていきましょう。

岡部