社長エッセイ

15年目を迎えてのつぶやき

 皆さんご承知のとおりKMCは設立15年目を迎えています。私が45歳で会社を立ち上げることを決めた時、自分が60歳になるまで、つまり15年間は何があっても会社を続けよう、と自分に誓いました。その約束はどうやら果たせそうです。では、さて、これから私はどうするのでしょうか、KMCはどこに向かうのでしょうか。

 時々、皆さんから「次の社長はどうするのか」と聞かれます。私は「全然決めていません。でも次にやる人は大変です」と答えています。いきなりこの規模の会社をマネジメントすることになる人は本当に大変でしょう。でも、やってもらわなければなりません。それどころか、私以上に会社を成長させてもらわなければなりません。だからそれはそれとして、時期が来たら私自身の責任においてしっかりと対処します。

 では、その時期がいつ来るのか、これは私にも全く分かりません。よくプロ野球の選手が引退する時に言いますよね。「プロの選手として体力がついていかなくなった」「気力が続かなくなった」。。。私もコンサルタントとして、心・技・体どれかが自分の理想どおりではなくなった時、自然体でそう決めようと思います。これからの目標は、まずは65歳まで。でも、もっと早く引退するかもしれないし、もっと続けるかもしれません。今からはホント、自然体です。現在は、仕事がとっても楽しい、KMCにいることが楽しい、という心境なので、引退するにしても、まあしばらく先なのかなあとは思いますけど。

 人は引退とか、残った時間とかを考えるようになると、自分のやっていることの価値をより深く問うようになると思います。今自分がやっていることが、本当に価値のあることなのか、人生をかけてやるべきことなのか、と。今の私にとっては、自分の存在が、途上国やそこの人々の暮らしを良くすることに本当につながっているのか、日本の企業の発展のためにも本当に役立っているのか、そういったことに私自身の存在意義を見出そうとします。だから報告書だけ書いておしまい、という仕事には何も関心がないし、意義も見いだせない。そして、社長という立場では、皆さんそれぞれがKMCにいることで、開発コンサルタントとして器を広げることに役立っているのかどうか。そしてもちろん、それらすべての結果として、会社は利益を得ているのかどうか、健全に成長できているのかどうか。私がKMCの社長でいる限り、そうした意識を軸に事業展開していくということでしょう。

 でも皆さん、くれぐれも勘違いしないでください。我々コンサルタントの原点は、きちんとした報告書が書ける、ということに尽きます。そのために、一度仕事を受けたら、いつまでに何ができていなければならないのか調査のはじめから終わりまで調査設計ができること、きちんとした質問リストが作れること、しっかりと調査ができること、専門家としての分析ができること、正しい日本語で読みやすい報告書が書けること、時間どおりにきちんと提出すること、分かりやすいプレゼンができること、などなど。まずは、こうしたコンサルタントとしての基礎で要件をすべてしっかりと身につけてください。「価値」とか「やりがい」とか、つべこべ考えたりいったりするのは、それができてからのことです。

 そうして自分を磨きながら、修羅場をくぐり抜けながら、社員同士助け合い、切磋琢磨し合い、自分で自分に自信を持てるコンサルタントになってください。皆さんそれぞれが持ち味を発揮して、一人一人味があって、周りに良い影響力のあるコンサルタントになってくれることを願います。KMCとはそんな力と考え方の持ち主たちが集まる組織でありたいと考えていますし、それが15年前に私が考えたことであり、KMCの原点でもあります。

 岡部