開発コンサルタント
のつぶやき

アルバニア国小規模農家金融包摂プロジェクト

新型コロナ感染症のピンチをチャンスに

2020年、世界中を襲った新型コロナ感染症は、アルバニアの農家にも大きな影響を与えました。アンケート調査の結果、収入機会を失ったり、種子や肥料・殺虫剤といった投入財価格が高騰したために農業を継続することが困難となる農家が増加したことがわかりました。プロジェクトではこうした小規模農家への緊急支援策として、2020年後半から2021年9月にかけて「農業投入材購入支援スキーム」を実施しました。このスキームは、農業目的の小規模融資の承認を受けた農家(合計1,250世帯)を対象に、プロジェクト指定の店舗での投入財の購入に対して1農家あたり40,000アルバニアレック(約40,000円)を支援するというものです。

 

実はこの支援スキーム、目的通りに農業継続の後押しをしただけではなく、いくつかの思いがけない嬉しい結果を生み出しました。そのひとつは、アルバニアの農家が今まで使ったことのない、「高価だけれど品質の良い」肥料などを試す機会を提供したことです。良質な肥料を農学的アドバイスに従って使うことにより、作物の品質・収量共に向上し、結果として所得が向上した農家が続出しました。また、コロナ禍でアルバニアの農家の間でもデジタル技術の活用の機運が高まり、同スキームの実施と合わせて提供を開始した当座預金口座などの新たな金融サービスやオンラインの農業関連情報サービス(ABAオンライン)の利用が拡大しました。まさに、「危機」とは、「ピンチをチャンスに」ということだなあ、と思わせられる経験でした。

 

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