社長エッセイ

【部長シリーズ第16回】農村開発部長:テレワーク元年、から2年が経ちましたが…?  

 

コロナ禍となり、テレワークを始めて概ね2年が経ちました。皆さんの在宅勤務は快適でしょうか。私にとって本格的(?)なテレワークは今回初めてでしたが、簡単ではない、とつくづく感じています。よく言われるようなコミュニケーションの取りづらさや、業務効率の低下というのもありますが、スムースに仕事に集中できない、というのが通常勤務との最も大きな違いでした。開発コンサルタントの国内作業は、会議を除けば調べ物をしたり報告書や提案書を書くというような、一人で集中するタイプの作業が主です。家に一人でいれば、静かで集中できるはずですが、意外に上手くいきません。ある程度人がいて、それでいてうるさくない、という環境を求めて、しばしば図書館に行って仕事をしていました。実際、図書館の方が仕事が捗るものです。なぜ人がいる方が集中できるのでしょうか。

ここで引き合いに出すことが適当かどうかわかりませんが、小学3年になる私の子供も、一人で家にいても絶対宿題はやりません。しかし妻か私にひと言われれば、それほど抵抗なくやり始めます。誰かがいた方が、やる気が出るのは私と同じようです(遺伝している?)。ただしよく見ると、親がうるさいから仕方なくやる、というわけではなく、宿題をやったのを見てもらいたいという動機付けということがわかりました。

これは、技術協力にも当てはまるように思えます。現地でカウンターパートや農家と一緒に活動すると、どんどん進みますが、我々コンサルタントが帰国すると一気に活動が停滞したりします。これもカウンターパートや農家にとって、我々の存在やリアクションが 励みになっているという側面は多少なりともあると思います。

どちらの場合も自分のためという動機付けが弱いので、見ている人がいなくなり、自分一人になるとモチベーションも低下してしまいます。言い換えれば、自分にとってメリットがある、と明確に認識すれば誰に言われるまでもなく、自立的に活動が継続することが期待できます。農業の場合、技術を指導しても結果(収穫→販売→収入増)が見えるまで時間がかかりますし、それをくり返し示す必要がありますが、技術協力において「技術を伝える」ことと同等かそれ以上に「成果を示す」ことが重要だと、改めて思いました(一方、小学3年の子供に「今日の宿題が君の将来の利益につながっている」ことをどう説明すれば良いのか…)。

話がずいぶん回り道しました。最初の話題は、在宅勤務中だと今ひとつ集中しきれないのはなぜか?でした。これは、私が誰かからのリアクションや承認を求めていたから、というわけではないようです(図書館では誰もリアクションしてくれません)。単に、誰かが周りにいればなんとなくサボってはいけないような気がする、という小心者気質が理由のようでした。対策として、仕事をするときには自宅のテーブルの上に家族の写真を置いて、ちょっとした衆人環境を演出しています。ふとしたときに、家族の顔が目に入ることで、気分転換になったり独特のプレッシャーを感じたりして、やる気を出しています。諸外国ではデスクの上に家族の写真が飾られているのをしばしば見ますが、私と同じような人もいるかもしれませんね(いないかもしれませんが)。